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執筆者の写真プラザくん

6.小1プロブレム①

もし、お子さんが小学校入学後に担任の先生から、

「授業中、席についていることができずに立ち歩いています!」
「集団行動がうまくできません!」
「先生の話を聞くことができません!」
「ルールや指示にしたがって行動ができません!」

などと言われたら、保護者としてはかなりショックですし、何とかしなければと焦ってしまうのではないかと思います。
実際に、我が子が学校で上記のいずれかに当てはまっていたらと想像するだけで、気が気じゃないですよね。

一般的に「小1プロブレム」とよばれるこの状況について掘り下げてみたいと思います。


《そもそも「小1プロブレム」とは?》

小学校入学後の新1年生において、落ち着かない状態が続き、授業が成立しない状況が数カ月に渡って継続することを一般的に「小1プロブレム」と言います。(「小1ギャップ」とか「小1のかべ」なんて言うこともあるようです)

小学校への不適応状況がしばらく続いてしまうことで、少なからず授業や学校生活に支障をきたすため、最悪の場合は学級崩壊なんてこともあり得るというのが問題とされていますが、実は15年以上も前から話題になっていたのをご存じでしたでしょうか?

少し古いデータですが、文部科学省の小1プロブレムの原因全市町村の教育委員会を対象に東京学芸大学が平成20年度に行ったアンケート調査結果では、小1プロブレムの原因は以下の5つとされていました。

①家庭におけるしつけが十分ではない
②児童が自分をコントロールする力が身についていない
③児童の自己中心的傾向が強いこと
④幼稚園、保育所が幼児を自由にさせすぎる
⑤授業についてこれない児童がいる

要約すると、①は「家庭が原因」、②③⑤は「子どもが原因」、④だけが「幼稚園・保育園・こども園が原因」とざっくりと分類できます。

教育委員会が考える「小1プロブレム」の発生理由は、幼小接続の問題よりも子どものしつけの問題や子ども自身の問題とかつては考えられていたようです。
一方で当時の文部科学省は、小1に上がるときのギャップを感じさせないような教育課程の円滑な接続の必要性を認識しているものの、実際のところは各園の方針の違いにより円滑な接続が難しいという立場だったようです。

つまり、「小1プロブレム」が問題視され始めた当初の分析としては、
 原因 … 多くはご家庭と子ども本人の問題にあり
 対策 … 保幼小の連携は必要だけど、現実的に難しい
というものでした。

その後、10年ほどが経過し、文部科学省からは平成30年度幼児教育の推進体制構築事業「幼児期の教育と小学校教育の育ちをつなぐ幼小接続事業報告書」が公表されました。
そのP.1には、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」ということで、

①皆と一緒に教職員の話を聞いたり、行動したり、きまりを守ったりすることができるように指導を重ねる
②協同して遊ぶ姿から、協力して目標を目指す姿へとつなげる
③幼児期の教育を通じて身に付けたことを生かしながら小学校教育へつなぐ

ということが記載されています。

最近では、2021年5月に当時の文部科学大臣から、2022年度から新たな教育プログラムのモデル事業をスタートし、その後、全国普及を図る方針であるというメディア発表がありました。

具体的には、
①5歳の1年間は小学校に上がる前段階として、同じ学びをしていくことがこれからの義務教育に必要
②言葉の力、情報を活用する力、探究心といった、生活学習基盤をすべての5歳児に保障する幼保小の架け橋プログラムの開発推進
とのことです。

小学校での問題が解決しないなら、保育園・幼稚園から指導しましょうというスタンスです。
極端な話、問題が起こらないように前倒しをして対応していきましょうというふうに見えなくもありませんが、そもそも「小1プロブレム」が発生してしまう根本原因をつかまえての対策ではなさそうですので、余計な負担やしわ寄せが出てこないかが心配になります。


「小1プロブレム」の発生状況を年間を通して見てみると、不適応状況が圧倒的に多いのは4月、次いで5月・6月・9月となっているようです。
この「小1プロブレム」発生が多い月と子どもたちの生活を照らし合わせてみると、そもそもの原因が少し見えてくるように思いますので、次回コラムにてお伝えしていければと思います。


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