毎年11/3は四谷大塚全国統一小学生テストが開催されます。
四谷大塚提携塾の教育プラザでは,テスト実施中に同時開催という形で保護者会を独自に運営しております。
毎年秋の保護者会テーマは『中学入試問題に挑戦‼』。
実際に千葉県の中学校で出題された入試問題の中から特徴的なものをピックアップして,最新の傾向やその対策,効果的な学習方法などをお伝えしております。
まずはその中から千葉県中学入試問題の相性について解説します。
中学受験では主に国語,算数,社会,理科という科目からさまざまな問題が出題されます。
分野・単元別でその内容を見ると,ほとんどの学校でまんべんなく出題されているのが現状ですが,特に最近の入試問題は教科に関係なく次の4つの力を試される出題が数多く見られるのが特徴です。
①基本的な知識力・技術力
学習した知識・技能をそのまま再現する力
②知識・技術の活用力・適応力
問題の条件や設定に応じて,自分の知識・技能を柔軟に使いこなす力
③読み取る力・表現する力
長いリード文や複数ある表やグラフなどの資料から必要な情報を読み取ったり
自分の考えや意見をまとめて記述する力
④身近な出来事や情報と関連付けて考える力
時事問題や環境問題,近年身近に起こった出来事や世間のニュースなど
身の回りの情報に興味を持ち,学習した単元に関連付けて考えたり表現したりする力
中学入試問題と学校選びは別だと考えていらっしゃる方もいるかと思いますが,なぜ各中学校はそれぞれの特徴を出した入試問題を作るのでしょうか?
特徴的な入試問題を課すことは,単に話題性のある問題を出して学校をアピールするというのではなく,その学校の建学の精神(アドミッションポリシー)にあった子を選ぶというねらいがあります。
つまり,入試問題はその学校の考える学習観とイコールだと言うことができます。
例えば,入試問題で記述の多い学校は,入学してからもレポートや作文・論文などの“表現する機会”が多々あるでしょうし,理科の問題などで実験観察をテーマにした問題を多く出す学校は,入学してからも実験を重視した理科教育が行われることが予想されます。
したがって,過去問を解いていて「何となく,解きづらい」「相性が合わない」というのは,その学校に向いているかどうかを見つめ直す材料になると言えます。入試問題がその子に合っているのかどうかはとても重要で,学校選びの一つの基準になります。
次に解答形式について見てみましょう。
解答形式としては,大きく分けて『①記号選択』『②用語・数値記入』『③文章記述(作図)』の3つに分類されるかと思います。
一概に記号選択,用語・数値記入が易しく,記述が難しいとは言えませんし,実際には国語の記号選択問題の中には非常に難解なものもあります。
算数はもっぱら数値記入ですが正答率が1%を切るような難問も存在します。
ただし,最近の顕著な傾向として,読解力や資料活用力を前提とした課題発見・論理的な解法や説明,原理原則を踏まえた上での応用など,うわべだけの知識や技術では対応しきれない問題が確実に増えています。
それと同時に,様々な分野を融合した出題や自分の考えや意見を記述させる問題も増加傾向です。
もちろん問題のすべてが記述というわけではありませんし,解答形式は依然として『①記号選択』『②用語・数値記入』が多く残っていますが,最近の傾向から今後留意したい点は4点ほどあります。
①全問数に対する記述問題の割合は確実に高まってきていること。
②単純な理由説明だけでなく,与えられた条件を読み取り表現しなくてはならないこと。
③他分野との融合問題や時事問題と関連した内容を絡めた出題が増えてきていること。
④理数教科においても,図示したりグラフや作図をさせたりする出題が増えてきていること。
ちなみに,千葉県私立上位校の渋谷幕張・市川・東邦大東邦・昭和秀英の2024年度入試における記述問題の配点割合は次のようになっています。
昭和秀英の算数は「解答のみでも良いが,途中式によって部分点を与えます」と記載があり,解答用紙も大問3以降は途中式が書けるように大きな枠が用意されています。
逆に,東邦大東邦は全教科とも選択問題か用語・数値記入に徹しているという特徴が昔からあります。
市川の国語は記述2題で配点23点ですから,1問10点以上の記述が2つあるということですし,渋谷幕張の国語は100点中42点分記述問題で,社会は3分の1が記述となっています。
解答形式だけでもこれだけ独自性がある訳ですから,問題もそれぞれ特徴があることが予想できるのではないかと思います。
いずれ受験予定の中学校がどのような力を要求してくるのかという視点で解答用紙を眺めてみると,いろんな気づきがあったり,これからの学習で留意すべきことが見えてきたりするかもしれません。
今回は,入試問題との相性についてお伝えしました。
次回からは教科ごとの特徴などについて解説していく予定です。